(株)日本都市政策研究所を設立した際に、何を思い、何をなそうと思ったのかお話したいと思います。
「都市は生きている」そう言われます。確かに、人の暮らしがそうであるように、都市も立ち止まったりはしません。また、都市の歴史は人の歴史そのものです。人の暮らしの有りようが街の姿、見た目を決定していると言っていいでしょう。
私がかつて仕事で関り、今も重大な関心を寄せている「景観」がまさにそのことを示しています。人がコミュニティを形成し、その結果として一定の景観が出来上がるのです。景観が破壊されるとよく言われますが、間違ってはいけません。勝手に壊れていくのではないのです。人が破壊しているのです。
では、どうすればいいのでしょうか。
私はこう思います。
人には「智慧」があります。未来を考える力があるのです。過去のプラスの遺産は残し、次代に受け継ぐ。これを『保全』と言います。受け継ぐだけでなく、改めて造り出す。これを『再生』と言います。保全と再生の中から、智慧を集め、ジャンプし、「進化」し、新しいものを創り出す。これを『創造』というのだと思います。
では、今、都市が置かれている現状はどうなのでしょうか。
少子高齢化の中で、人類の「智慧」が本当に引き継がれていくのか不安があります。さらに、AIの発達で人類の「智慧」すら不要という時代が見えてきているという識者もいます。しかし、そんなはずはないし、また、それで良いはずはありません。
都市は生きている、そして進化しています。そして、それを正しく導くのは、やはり人類の「智慧」だと思うのです。
(株)日本都市政策研究所は、これまで人類が培ってきた「智慧」と「智慧」を結び付け、都市政策の将来を見通し、未来を切り開く政策集団の一翼を担いたい。そう強く願って立ち上げました。
この(株)日本都市政策研究所はまだキャリアを刻み始めたばかりですので、ここでは代表取締役である、私大島仁の仕事の軌跡をお話しさせて頂きたく思います。
京都市役所では様々な仕事を担当しましたが、印象深かった3つの仕事を紹介させて頂きます。その他に所属した局・部・課については私のプロフィールをご参照下さい。